能登草木の染研究室・通信Vol.8

2001年  6月 15日   発 行

新 谷 工 芸 ・  新 谷 幸 子

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草木染で模様を付ける

──  ローケツ染めによる模様付け ──   

熱で溶かしたローを筆や刷毛、スプレー等で布の上に乗せ、水溶性の染料を染まらなくすることで絵や模様を表現する染色技法。ローには防染力の強いものや亀裂の入りやすいもの、柔らかな表現に適したもの等があり、単独又は混合して使用する。草木の引き染ではローケツ技法が植物液との化学変化が少なくて使用しやすい。



ローの表現方法 

@氷割れ 
布にローを均一に乗せ、裏まで通し、冷えてからローに折れ跡を付け、染 料をしみ込ませて模様にする。ローの亀裂の数量や強弱で染の表情を変える。 

Aエッチング
布にローを乗せ冷えてから鉄筆、針、千枚通し等で布を破らない程度に傷を付けて模様にする。ローに描かれた線に色が染まり模様になる。 

B吹雪(ローの振り落とし)
スプレーや筆、刷毛に付けた溶けたローを布に点々と落とす。点の大きさを変えたり、多量に打ったり全体を均一に打ったり、型紙で模様にしたりする。ローの振り落としは当て木がなくてもできる。 

Cフロッタージュ
布の下に凹凸の石や木、葉などを置き、固形のローで布の上にこすりつける。ドライヤーでローを溶かして模様にするが、熱の入れ方でローの状態を変化させ模様の染め上がりを
調整する。 

D線描き 
細い線を描き太細を付けて描く。
ベタ面との併用で線に変化を付ける。

E堰(せき)出し
堰を止めて染まらないようにする意味で、広い面積の色分けをする。 色を塗る面積や技法によってローの巾を広く置く場合がある。 

F素描き 
溶解の温度が低いとローは布に厚く乗り防染力が強くなり(反面、裏まで通らず色がにじみ出る)、高いと染色で半透しになる。描くスピードを変えて、ローの乗りの厚さを調整しながら絵を描く。熟練が必要。 

 


《染色用語の説明》 「天然染料」   

自然界から産出する染料(繊維の内部まで浸透する色素)で、基本的には抽出した液をそのまま染に使うことのできるもの。化学合成染料に対して使う。

@鉱物染料…水酸化鉄など(広い意味の染色では鉱物顔料による表面着色も含む)
A動物染料…コチニール ・ケルメス ・ラックダイ ・セピア 等
B植物染料…藍・紅花・茜、矢車附子・玉葱など

 

《染色用語の説明》 「草木染」   

植物染料による染色を現在は一般的に「草木染」と言っているが、昭和5年山崎斌氏が命名したもの。上村六郎、柳宗悦、バーナード・リーチ氏は古くから行われていた本来の染色という意味で「本染(ほんぞめ)」と呼んでいた。


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